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まずは、こちらの写真をご覧頂きたい。
なんだこれ。
神宮前のとある住宅街に、ポツンと赤提灯が灯っている……!!
ハイエナズクラブに情報をお寄せ下さった方によると、これ、正真正銘の“居酒屋”なのだそうだ。
めちゃめちゃ気になったので、さっそく潜入することに。
■謎の居酒屋へのアプローチ
原宿駅から神宮前2丁目あたりまでは、徒歩15分。
どの駅からも遠いからか、都会の中のエアスポットのような一角だ。時折おしゃれなお店が入り混じる、落ち着いた昔ながらの住宅街を歩いていく。
白い看板の角を右折。この時点で難易度高い。
この通りにあの居酒屋があるはずだが、完全に住宅街である。こんなのよそ者には絶対にわからない! テレビ東京がこのネタ好きそう。
すれ違う近隣住民に怪訝そうな顔をされながら歩いていくと……
ありました。完全にただのマンション!
確かに、居酒屋の赤提灯だ。ただ、他の風景が普通すぎて違和感しかない。
本当に居酒屋なのか?
お酒好きが高じた人がインテリアとして赤提灯を使っているのではないか、と若干不安になる。
が、マゴマゴしてもしょうがないので突入してみる。
公団住宅チックな趣のある建物の階段を一段一段登っていく度に、お婆ちゃん家に行く感覚に浸る。
食べきれないほどご飯をくれたお婆ちゃん、今日は飲みきれないほどのお酒を飲みます。もしそこがお店なら。
外観もマンションだが、当然入口もマンション。看板や屋号のようなものは一切なし。突入していいのか不安になる。ドアは閉ざされているが、のぞき穴から漏れる光と、中からテレビの音が聞こえるので一応営業中と判断。
ピンポーン…… (緊張の一瞬)
呼び鈴を鳴らす。
……数秒に待つが返答がない、居留守……? 部屋間違えた……?
どきどきする。マジの普通の人の家だったら怒られる……!
……が、2、3回鳴らしても応答がない。
試しにドアノブに手を掛けてみると、開いている。刑事ドラマの気分で思い切ってドアを開けてみた。
ガチャッ!
シーン……。
…………店内には誰もいない。
テレビの通販番組の音だけが寂しく響く。
でもテーブルの上の調味料や割り箸が「店」っぽいので、ここは「店」でいいのだろう、と判断した。
「すみませーん」と何度か言ってみたが、返事はない。
グラスが多い以外はほぼ普通の民家のキッチン。
ビールケースの上にテレビを設置しているところが居酒屋のアイデンティティを感じさせる。
結局、今は店主は外出中と判断。少し時間を潰し、改めて訪問することにした。
……そして1時間ほど経って、再度訪問。インターホンを鳴らす。
すると今度はすぐに「はいー」と男性の返答がきた。店主がいる!
すかさず遠慮無くガチャリと扉を開き、遂にこの謎の居酒屋に(正式に)入店することに成功したのだった。
■とりあえず飲み始める
「飲み物と餃子しか今日はないけどいいかい?」
と60代くらいの男性店主の質問にうなずき、瓶ビールを頼んだ。
「一見さんは久しぶりだわ〜」と言いつつ、チンゲン菜を炒めてくれた。
お通しのチンゲン菜炒め。
「これはサービスだから!」と店主。
ニンニクと醤油の旨みが美味しい!
宅飲みの気分になっているが、一応「店」ということをベランダの赤提灯を見て再認識。
「さっき、外、歩いてたよね」
と店主。不在だったので出直した旨を説明した。
「常連は中で待ってるよ(笑)」と店主。仮に店じゃなかったら完全に不法侵入なので遠慮したんですってば……。
なお不在の理由は「ヒマだから散歩してた」とのこと。
(店主不在の時はお店で待っていよう!)
客は当取材班の二人のみ。手を動かしながらの店主とお話しをする。
●営業時間は?
「17時くらいから22時くらいかな。遅くまで続けて騒がれると、ここ(マンション)の人に怒られるからさ。まあ、騒がなければもっと続けてもらってもいいけど…最悪、マンションだから隣の部屋で寝れるし。えへへ」
●定休日は?
「毎日営業だよ。だって、ウチがこの下だもん。えへへ」
そう、実のところ奥様の親がこのマンション自体のオーナーなのだそうだ。
更に聞くとこの店主、元々は「札幌や」というこの近くのお店で働いていたそうなのだが、店自体が閉店してしまったとのこと。だったら自分で店をやろう!ということで新店の準備期間中だけ、たまたま空いていたこの部屋で居酒屋を始めた、というのが、この奇妙な居酒屋の正体だったのだ。
●このお店の名前は?
「うーん、特にないね。新店のほうも何でもいいんだけど、【八百辰】っていう八百屋の居抜きだから、そのまんま【八百辰】にしようかな。えへへ」
●常連さんはどのような人?
「町内会や近所の人とか、この辺で仕事してる人だよ。19時くらいから来るよ、多分」
当然と言えば当然だが常連の人がほとんどで、新規のお客は私たち含めオープン以来“通算で”3組ほどらしい。
餃子は普通の餃子と大葉が入ったものの2種類。
店主の手作り餃子はとってもジューシー!!
餃子を口にいれた途端、肉汁が溢れ出す。
大葉入りを忘れたということで、一人前サービスしてもらった。どこまでサービス精神旺盛なんだ。もっと普通に儲けてほしい。
なお、かつてのお店『札幌や』では餃子担当ではなかったので、当時の味は特に再現されていない、とのこと。
(でも美味しいですよ!)
しかし、新店オープンまでのこの期間限定の【名無しの居酒屋】はいつ頃までの営業か聞いたところ、7月11日くらいにはこのお店(マンションの一室)は閉め、そして20日頃に新店のラーメン居酒屋をオープンするそうだ。
常連さんたちはこの店も残してほしいそうだ(その気持ち、凄くよくわかる…!)が、店主の体は一つしかないので無理な話ではある。
まさに蜃気楼のような幻の奇店、である。
※なお、オープンは5月くらいだったそうなので、実質2ヶ月間くらいの営業ということになる。
新店の調理器具や机などは「札幌や」から譲りうけたもの。この店にある机の一部も元の店のものらしいが……
このテーブル(100cm×200cmくらいありそう)は高田馬場で購入し、自転車に括り付けて持ってきたそうだ(ワイルド!! っていうかどうやって!?!?)
椅子は中野の島忠で買ってやはり自転車輸送したとのこと。結構距離がある気がする。なんだこの人。
そんなこんなで、家呑み感覚(そもそも、実際の家だし)でお酒が楽しめる激レア店。
フレンドリーな店主いわく、新店では是非お酒もいいけどラーメンを食べてほしいとのこと。
周囲を渋谷、原宿、青山とファッション包囲網に囲まれつつ、昔ながらの街並みを残したここ神宮前は、まさに蜃気楼のような砂漠の中のオアシスかもしれない。
興味を抱いた方は、ぜひこの夢心地を体験してもらいたい。
ちなみにお会計は、二人で
チンゲン菜炒め(お通し:サービス!)、瓶ビール2本、ウーロン茶、餃子3人前(注文間違い扱い?で1人前サービス!)で合計2000円也。ザ・せんべろである。
※多分、適当に決めているので変動する可能性が高いです
この謎の赤提灯が見られるのもあとわずか。まさに大都会の中にふっとあらわれた、蜃気楼のような居酒屋である。決して飲み過ぎによる幻覚ではない。
■新店情報
……だが、そんな幻の奇店訪問に間に合わなくても、2015年7月20日頃に、新しく「ラーメン居酒屋【八百辰(仮)】」が誕生します。
居抜き前に入ってた八百屋の屋号を引き継ぎ(看板変えなくていいじゃん、という店主のエコ精神です)、ラーメン居酒屋【八百辰(仮)】はなんと同じ建物の裏側1階にオープン予定!!
※隠れ家的! と大々的に宣伝する系統の居酒屋と違い、マジの隠れ家な居酒屋なので、現状でお客さんがあまり殺到されるのも困るようです。大勢でウェイウェイ行かずにひっそりと訪ねてみるようお願いいたします。新店オープンの暁にはまた当記事にて追記告知します!