【世界の歯医者を巡って実際に検診してもらう旅レポ】 world dental memories〜아뇨하세요!SAVE DENTAL CLINIC〜

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お元気ですか?こんこんが海外旅行のついでにその土地の歯医者を受診して帰ってくるというこの企画も第6回目を迎えました!今回は韓国の仁川に滞在したのですが、もうこの度6件目ということで、今回は事前に情報収集せず、その辺の飲み屋にふらっと入るくらいのかんじでホテルの近くの歯医者を訪ねてみることにしました。

韓国の仁川は日本で例えると横浜、世界で例えると韓国のドバイと言われる随分幅のある都市で、よく整備された道路は果てしなく長い!


2024年12月31日。ゆく年来る年最後の日に私は子供(5歳)とスライムを作りにいく予定だったのですが「お母さんは韓国の歯医者に行きたいから」と子に言い聞かせ、朝一でGoogleマップで調べたホテル最寄りの名前もよくわからない歯医者にやってきました。突然行って診てもらおうという図々しいことは思っていないので、まずは予約が取れそうかどうかということを確認し何とか帰国前に歯科診療を受けたいそう考えておりました。
テナントがいくつも入ったビルの2階を階段であがると、ガラス張りで明るい雰囲気の歯科医院がありました。ハングル文字の看板が韓国にきたことを実感させます。

ホテルから一番近い歯医者の入るビル。一階の緑の看板は果物屋さんです。
なんという名前の歯医者なのかは全くわかりませんが、清潔そうです。


中に入ると長い髪を束ねた眼鏡をかけた女性が韓国語で話しかけてきました。私は韓国語がわからないのでなけなしの英語力を振り絞って「クリーニングを受けたいです」と伝えました。すると受付の方は即座に会話を韓国語から英語モードにシフトして、初めての方ですか?今日でもいいですか?韓国の保険はお持ちですか?などと流暢な英語で話始めました。

すごい…こちらはこんなにギクシャクしているのにお姉さんの適格な応対すごい…と韓国の若者にすごいすごいとオロオロしていると、お名前は?年齢は?と手際よく私の問診を聞き取り始め、そうして受付の女性が私の問診票を記入していきました。こいつ韓国語はダメだなとわかった瞬間自分が聞き取りをして問診をさっと書いてしまうシゴデキ感。すごいこの受付優秀だな…と驚きました。普段外国人対応をしている歯医者ならわかるのですが、おそらく国民がメインの町の歯医者でしかも突然やってきたオロオロした異邦人にこの対応力はすごいなと圧倒されていたら「では今日の4時半に来てください」と病院の名刺に4:30と書いて渡してくれました。そうしてこの時私は、ここが「SAVE DENATAL CLINIC」ということを知ったのでした。

あなたSAVE DENTAL CLINICっていうのね!
お姉さんが手際よくわかりやすくさっと渡してくれました


※※※


楽しいスライム作りも終わり、約束の時間。午後4:30分より少し早くに私は再びSAVE DENTAL CLINICを訪れました。

親切で丁寧な受付

朝のシゴデキお姉さんが笑顔で迎え入れてくれ、少しお待ちくださいねと告げられ待合室のソファーに腰をかけました。しばらくすると私と同じ時間の予約であろう患者が続々と入室してきました。待合室には韓国語を話す40代くらいの女性患者が3人ほど座って順番を待っていました。
待合室の机の上には紫色の本が数冊置いてあり、気になって手に取ってみました。料金表かと思って開けて見たところ、


「?!」

いきなり韓国料理があらわれました。驚いて次のページを開くと歯のレントゲン像写真が掲載されており、ハングル文字でわからなかったのですが、どうやら根管治療(歯の根っこの治療)の解説のようなことが書いてある様子でした。
韓国料理と根管治療の関係性が不明のまま顔を上げて待合室を見回すと、ドリンクバー的なものがあることに気がつきました。コーヒーやお茶が淹れられるようになっており、日本には絶対にないサービスに驚きました。さらにふと横を見ると、給水器の上でシルバニアファミリーが歯医者を営んでおり気持ちが和みました。

歯医者でお茶やコーヒーが無料で飲めるぞ!

異国の地で勤しむ日本の同業を発見!がんばれ〜

SAVEクリニックに来てからは驚いてばかりだなと思っていると「こんこんー!!!」と大きな声で下の名を呼び捨てられました。「え?」とまた驚いていると「こんこん!!!」と確かに私の目を見ながら私を呼び捨てる女性がいるので「はい!!!!」と立ち上がり中に入りました。Mrs.とかないの?とドキドキしながら入室すると、女性がそこに座れというのでユニット(歯医者の椅子)に大人しく座りました。すると私のことを母のように呼び捨てる私より明らかに若いその女性はパチパチと私の側でパソコンを入力を始めたので「あなたは歯科医ですか?」と聞いてみたところ「NO!!」と視線をパソコンの画面に向けたまま答え自身は歯科衛生士であることを私に告げました。
しばらくすると私の母(担当歯科衛生士)とは打って変わってマスク姿でも顔が溶けそうなほど、にこやかに微笑んでくれていることのわかる若い男の先生がやってきました。少し古いですが、例えるならヨン様そうヨウ様スマイルの男性です。


ヨン様が「見せてくださいね」と穏やかにユニットを倒す途中で、母が勢いよく口だけ丸く開けてある布をガバッと私の顔にかけてきたので一瞬で何も見えなくなりました。しばらく口を開けていると「パーフェクト!」と私の歯が118(良い歯)であることが証明され、顔から布が取られてベットだったユニットが椅子の形に戻りました。「異常はなさそうなので希望通りクリーニングでいいでしょう」とヨン様から告げられ、クリーニングを受ければ帰してもらえることも保証されました。


ヨン様は私の診察が終わると颯爽と姿を消し、その後母が私に液体の入ったコップを持ってきて「1分間これで口をゆすぎなさい」と言ってきました。あなたは1分間ブクブクうがいをしたことがありますか。辛いよ!「ワンミニッツ….」と私はつぶやいた後、初めての1分間ブクブクうがいがはじまりました。すると開始と同時に母は私の元から去っていきました。


誰もいなくなった小部屋でのブクブクうがいは、寂しい。先口剤のミントの風味がさらにアンニュイな気持ちにさせます。ですが私は非常に根がまじめなので異国の地でブクブクうがい放置プレイを受けても「今はだいたい30秒くらいかなぁ…」などと思いながら熱心にブクブクうがいを続けました。うがいを続けていると母が戻ってきたので頬を膨らませた口元を指差し「出していい?」とジェスチャーをしたところ「ya」と言われたのでスピットン(うがいするところ)に液体を吐き出しました。


その後またユニットが倒され勢いよく口だけ空いた布が被され暗黒の世界へと導かれました。何をやっているのかは見えませんが、大丈夫、私は118の歯科衛生士。暗黒大陸でも大体わかります。
母はまず、超音波スケーラー(主に歯石を取ったりするお水の出る道具)でスケーリング(歯石取り)を開始しました。上の奥歯から順に母が掃除してくれるのですが、口に溜まった水を吸い取る道具をバキュームではなく排唾管を使っているので水の排水が追いついていません。例えるならバキュームは掃除機で吸い取る、排唾管はストローで吸い取る。そんな感じです。
異国の地で口に溜まった水を飲み込むのは勇気がいりますが、一向に母がバキュームを使う様子もなく水は溜まる一方なので渋々口に溜まった水をごっくんしました。今晩腹を壊したら母を恨み倒そう、暗黒大陸で私は誓いました。


下の歯のスケーリングの途中、開けっぱなしの私の口が閉じてきたのか「あーあ!」と母に言われました。「あーあ!」のイントネーションは中国語でいう第二声で、低音から高音に上げていくかんじで「あーあ↑」と母は確かに言いました。母の独特の言い回しかな?とも思ったのですが、よく耳を澄ませていると隣の小部屋からも「あーあ!」の掛け声が聞こえたのでおそらく韓国では「お口開けてください」の表現が「あーあ」のようです。「えー!あーあ!めっちゃ可愛いやーん」と韓国流お口開けてくださいに興奮し、目隠しをされたまま1人で喜びました。


全体のスケーリングが終わると、大きな綿球で歯を清拭され(たぶんオキシドールだと思う)ユニットは起きタオルが外れ「finish」と母に告げられました。15分程度で韓国での歯のクリーニングは終了しました。え?PMTCしないの?(クルクルブラシで歯をつるつるにするお掃除)PMTCしてよ!と思いましたが、なんとなく母にそんなことは言えずニコニコしながら「センキュー」とお礼を言いました。せっかくなので一枚写真が撮りたいと思い、母に診療室の写真を撮っていいか?と聞いたところ「ya」と言われ待合室にむかいました。

母に許しを得て撮った韓国のユニット白黒でかっこいい。よくみるとバキュームは外科用のように細い。


待合室に戻り、受付で名前を呼ばれるのを待ちました。名前が呼ばれ50000ウォン(約5000円)の支払いをする時に最後まで親切だった受付の女性に「あなたはとても親切でした。感謝してます」と丁寧に接してくれたシゴデキ受付女性にお礼を言いました。そうして「実は私は日本の歯科衛生士で韓国の施術に興味がありました」とMEは何しに韓国にきたかを優しそうな相手につらつらと語り始めました。このパッションを誰かに聞いてもらいたかったのだ…すると女性は「そうなんですか!私も日本の施術が知りたいです!」とニコニコしながら答えてくれたので「なんて素敵な人だ、お友達になりましょう!!!!」と受付女性と手を握りあい日韓友好条約を締結したことを想像しましたが、お友達になりましょうと言い出す勇気がなかったので、代わりに「カムサハムニダ、アニョハセヨーーー!」と言ってSAVE DENTAL CLINICを後にしたのでした。 

〜完〜





※後日、あの受付に置いてあった紫色の本をGoogle翻訳で調べてみたところなんとムンソンジュ院長のブログだったことがわかりました。「ワイフと一緒にアウトレットに行って食事をしメンタルが回復した」という前振りのあと根管治療について語るという内容でした。私もムンソンジュ院長のように自分の働く診療所に世界の歯医者ブログを本にして置いてみようかと思います!!

ムンソンジュ院長のNAVERブログ文集
「育児と仕事を繰り返すと体力とメンタルの回復が必要」と語るムンソンジュ院長。万国共通の悩みに全くの同意です。院長お疲れ様です!
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