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お世話になっております。ケアムーラです。
転勤で4月に引っ越す友人から、送別会を開く旨のお知らせが来ました。自宅での開催、持ち寄り。引っ越すことは知っていたのに友人間で誰も送別会の音頭を取らず、当人にホスト役をさせてしまうなんて本当に申し訳ないです。これはお詫びがてら、何かしら良いものを作って持って行かねば・・・
というわけで材料を見繕いに西友に来ました。そりゃー金を積めば高級食材店やセレクトショップでいくらでも良い物を買えます。しかし、ある程度の(金銭的)制約があるからこそ工夫のしがいや、楽しさがあります。大学一年生の、小麦粉しか買えなかった頃の自炊を思い出すんだ!小麦粉と塩と砂糖と水と大学生ならではの有り余る時間で、この世の全てを作れたじゃないか・・・!
とはいえ、引っ越す友人への餞別が「小麦粉で作ったガム」とか「ゆるゆるのすいとん」というのはさすがに申し訳ないです。結局、小一時間かけて選んで買った食材はこれら。「西友に売ってるものだけで作る」というゆるめの縛りで、とある料理を作ります。
西友のレジで6千円を超えることってなかなか無いですよね・・・。まあ調味料や全量使うわけではない材料も多いので、使った量だけで計算すると3600円程度となりました。さあ3600円かけて何を作るかというと、「ファッチューチョン」です!
佛跳牆は乾物を主体とする様々な高級食材を数日かけて調理する福建料理の伝統的な高級スープ。名前の由来は「あまりの美味しそうな香りに修行僧ですらお寺の塀を飛び越えて来る」という詞にあるとされる。
wikipediaより
ひとことで言うと「凄いスープ」です。どのくらい凄いかについて、百聞は一美味しんぼに如かず。美味しんぼの9巻と47巻を読んで下さい。私は幼少期、父の本棚の美味しんぼを何度も何度も何度も何度も何度も何度も読んでいて、その中で一番食べたかったメニューがこのファッチューチョンでした。ちなみにニ番目はポテト・ボンボン。三番目はローピン。四番目はタケノコの刺身。五番目は小籠包。六番目はマカロニの穴にソースを詰めたやつ。七番目はシカゴ・ピザ。八番目は汲み出し豆腐、以下略です。今回引っ越す友人も美味しんぼマニアなので、「確認は取ってないけどファッチューチョンしかないな」と思い、ファッチューチョンに決めました。
まず干しシイタケ「どんこ」を水につけてダシをとります。お湯で戻すよりも冷水で一晩かけて戻す方が旨味が何倍も出るとのことですので、そのようにしました。
別のタッパーでするめと干し貝柱をもどします。干したナマコ、干したアワビも使ったりするらしいのですが西友には売ってないので今回は諦めました。というか、干したアワビってめちゃくちゃ高くて、10〜20グラムのやつ1個でニンテンドーSwitchやPS4のソフトが新品で1本買えるくらいします。これを数個買うのが金銭的に厳しいゆえに「西友に売ってるものだけで作る」という縛りをつけた次第です。
乾物だけでなく、家にあった野菜(もちろん西友で購入したもの)を弱火でゆっくり加熱して野菜ダシも作ります。鍋の周囲にモザイクをかけているのは、コンロが汚れているからです。美味しんぼ47巻では、ファッチューチョンの乾物臭さをウィークポイントとしてあげていました。登場人物は乾物を減らして別の食材を入れてさらに美味しく作るのですが、その別の食材というのが生のアワビやスッポンだったりして「どっちにしろ高くて買えねーよ!」という話なので、私は安価な野菜ダシを用いて味わいをマイルドにしたいと思います。
ちなみに、これらのタッパーも西友で買ったものです。美味しんぼの冷やし中華対決の際、冷やし中華は中華料理だから調味料を全て中国の調味料で揃えて作った方が勝ちました。私も容器含め全てを西友で揃えることにして勝ちたいと思います。
タケノコ、美味しいですよね。干しタケノコはいかにも深い旨味が出そうでファッチューチョンに必須と思われますが、西友に売っていなかったので作ります。
切って、オーブンである程度加熱します。
天日干しにします。この雑な作り方は多分間違っていますが、これでも意外と美味しそうな香りがしてきて驚きました。
一晩経過。さあファッチューチョンの始まりです。
ローストビーフ用の肉をカットします。
五香粉という今まで買ったことのない粉をまぶして・・・
揚げます。いい香りすぎて、美味しそうすぎて、既に心の中の修行僧が塀を飛び越えるべく屈伸を始めました。
長ネギとニンニクのみじん切り、揚げた肉、干したタケノコ、ダシをとったあとのどんこをごま油で炒めます。いい香りがしかしません。
用意しておいたダシを投入。どんこと干し貝柱の主張が強いです。匂いからも溢れ出る旨味。
木くらげ、クコの実、干しえび、炙ったえいひれを入れます。これでうまくならないわけがない・・・
インターネットでファッチューチョンのレシピを検索すると、栗やカシューナッツと書いてあるものがあったので半信半疑ながらも栗やカシューナッツを入れます。また、氷砂糖、オイスターソース、五穀味鶏の鶏がらスープも少し入れます。
アクを出して取るということをしたかったので、多少煮ます。
金華ハムが西友に売ってるわけないし実際売ってなかったので生ハムを入れます。塩は入れないので、この生ハムの塩分頼みです。適切な量かどうかは不明なまま、突き進みます。
入れてほんの少しだけ煮ます。アクを取ります。本来は香りを飛ばさないように長時間蒸すものらしいのですが、このサイズの鍋が入る蒸し器を持っていません。よって蓋をしてバスタオルで包み保温調理をすることにします。夜中、1時間おきにバスタオルを外して再加熱してまた包むということをして温度を保つだけの簡単なお仕事です。
朝になりました。蓋を開けると、旨味の核弾頭みたいな強烈な香りがします。ヤベー・・・ヤベーもんを作ってしまった・・・家の外に動物が集まっていてもおかしくないです。
特殊な技法で具とスープに分けます。
濁りをとりたいですね。まずスープを一旦冷まします。
冷めたら卵白を入れてかき混ぜ、沸騰させます。
特殊な技法で卵白を取り除き、綺麗になりました。ファッチューチョンの完成です!!!
これはただのスープではないっ・・・!
スープだけだと寂しいので、もう一品作ります。ファッチューチョン作りに使った具を適度な大きさに切り、研いだもち米にのせてファッチューチョンを入れます。味が濃くなりすぎるのをおそれてニンジンを足しました。炊きます。
神をも畏れぬファッチューチョンの中華おこわです。
西友で売ってるものだけで作ったファッチューチョンを西友で売ってたタッパーに入れて、友人の住む練馬区へ・・・
鍋を借りて温め直します。
中華おこわにファッチューチョンを大量に入れたため、純ファッチューチョンとしてはデパートの催事での試飲分くらいしかありませんでした!!!大誤算!!!
しかし、飲んだ友人達の反応はまさに美味しんぼ47巻。一人はその場で髪が生え、一人は転職活動中でしたが内定の電話がかかってきました。
以上です。遅れて参加した人も含めて8人が楽しめて約3600円。西友の安さがなせるわざですね。外出し辛い時勢ですので、皆様もぜひ家で12時間かけて料理をしましょう!