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『春〜spring〜』である。春めいてきた昨今、遠い昔の出来事のように思い出すもの。それが数年間人気上昇し続けていた背景を経て2019年に完全に大ブレイクしたタピオカドリンク専門店の異常なペースでの増殖だ。店舗敷地も小さくて大丈夫、初期投資も少なく(多分)、作るスキルも要らない、そんなかつての「白い鯛焼き」ブームを思い出しつつ、それ以上の勢いでタピオカ屋は増えた。増えた。増えまくった。
ところが、秋から冬、当然のことながら寒くなってくる。タピオカドリンクも冷たいドリンクだけでなくホットももちろんあるが、そもそもの習慣として結びつかないのか、あるいは専門店ができすぎて食い合い始めたのか、とたんに専門店の行列を見かけなくなった。そして、潰れ始めた。人類は愚かなのである。
今回は私の観測範囲で見かけたタピオカ屋たちの散った記録をご紹介したい。
①30日くらいで潰れたタピオカ屋の定点観測
2019年の冬にもなろうとしている季節に新規オープンしたタピオカ屋。真夜中に電灯のせいで昼と勘違いして鳴きまくってるセミや、真冬になぜか飛んでいる蚊を見たときと同じ気持ちになりました。しかしあの菅田将暉とスザンヌ(この組み合わせは何なんだ)が花を送ってくれているくらいのタピオカ屋なので、ポテンシャルがあるのだろうか……とこちらも定点観測を開始した。
私の通りがかる時間帯には客が入っているのを見たことがない。大丈夫かと思ったが、そうこうしているうちに年の瀬になり、12月26日くらいからこの店は休みに入った。貼り紙には「1月6日までお休みします」とあったので、年末年始休暇なのだろうと捉えていた。
しかし、茶曜日は帰ってこなかった。1月6日を過ぎても一向に開店する様子が見られない。おい今何曜日だと思ってるんだ!
翌朝も見たけどまったく人の出入りした気配すらない。ドアにもなにかの請求書が挟まっていた。結果的に、この店は開店から30日くらいで潰れたかたちになる。うちで飼ってたカブトムシのほうが長生きしたよ。
少し経って色々取っ払われた様子。原状回復?したようです。マジで30日間でお亡くなりになるなんてワニもびっくりだよ。というかどれだけ赤字を垂れ流したのかと想像すると怖くなりますね……。ひと夏だけでガッツリ稼いで閉めた海の家スタイルなタピオカ屋も沢山あったと思うけど、ここは毎日観測していたけど一度も客を見たことがなかったし、おそらく売上ゼロ円の日もかなりあったのではないだろうか。