最新記事 by 赤祖父(赤ソファ) (全て見る)
- 【世間の商品に学ぶ】みんな誰でもナンバーワンになれる!【No.1商法】 - 2022年2月3日
- 【訪問レポート】埼玉県『むさしの村』のワンダー感が楽しかった - 2022年1月3日
- アラフォーから飲酒を始めた人間がすっかりハマって堕ちていくその最初期の記録 - 2020年11月16日
■はじめに
今回は私、怒っていることがあるので主張させてください。
最近の串カツ屋は「ソース二度漬け禁止」と言いたいだけなのである。単に言いたいだけなのである。
串カツ屋を見ると大概こうだ。
「大小宴会承る」よりも「二度漬け禁止」を優先的に主張。そんなに大事?
店名の看板よりも大きく「2度づけあかんよぉ」の主張。繰り返すけど、そんなに大事?
店名よりも、味よりも雰囲気よりも、お客様を迎え入れようという姿勢よりも、それ大事?
お触り厳禁のところで触ったのならそういう表情と態度取ってもいいと思うけど、お店に入る前からそんな態度を取るの?ナメてるの?(勿論お触り厳禁のところでは舐めるのも厳禁だと思いますが)
もはや串カツ屋であるかどうかすらよくわからない店構えの中で、串カツそのものよりも「二度付けお断り」のほうが大きいという異常事態。お前は串カツ屋じゃなく「二度付けお断り屋さん」を名乗れ!いいな!
……串カツ屋、とにかくこんな調子で、二度漬け禁止と言いたいのである。
■串カツ屋の「二度漬け禁止」とは
二度漬けお断りの理屈は勿論わかる。銭湯に入るときは先に体を洗うのと同じで、このようなかたちで多数の客で共用するソースをなるべく汚さないようにするためのマナーであり、当然守るべきだ。
食べかけの串カツを漬ける(=二度漬け)と、唾液や噛んだ食材から油などがよく染み出て衛生的に問題だ。もしソースが足りない場合は、キャベツなどの綺麗な食材を使って食べかけの串にかけてあげるという対応策もお店の人に案内される。なのでこの方法を最初から教えてくれれば特段二度漬けをすることは無いだろう。
だから、こんなに主張する必要なくない?
店内で教えてくれればよくない?
……でもここで疑問がわき上がる。
「二度漬け禁止」自体は良い。でもここまで執拗に串カツ屋が「二度漬け禁止」を主張しまくるのか、は謎だ。
元々そういうものだから守れ、というのはわかる。ただ「そこまで主張しなくても…」というのが率直な感想だ。
想像で幾つか理由を考えてみる。
●いくら注意したり店内に書いたりしても、とにかく守らない客が多い。
●シキタリを知ってるんだぜ〜と通ぶって若い子に向かってドヤ顔したがるオッサンを絶滅させたい。
●やっぱり「それっぽい」から「言いたいだけ」。
●二度漬けした男に故郷の村を焼かれた。
またこれも完全に根拠もない想像だが、おそらく元々そういうルールでやっていた店が大阪の新世界にあり、同業たる串カツ屋が次々とマネをした。そのうち、『美味しんぼ』で「寿司の醤油はネタのほうに付ける」だの「みそ汁の具は一種類にしないと味が濁る」だのといった好きにさせろレベルのウンチクを喜ぶ層にヒットしたのがこの「二度漬け禁止」のマナー。志村けんの「変なおじさん」の服が初期は無地だったのに、いつしか志村の顔が沢山あしらわれた衣装になったのと同じで、「二度漬け禁止」ばかりがなぜか「本場らしさ」としてフィーチャーされ強調されていった結果、今のように店名や味、価格などよりも大きく「二度漬け禁止」を主張してしまう串カツ屋ばかりになってしまったのではないか……。
……とにかくこの串カツ屋の「二度漬け禁止」に疑問を抱いている。
なので、行ってみた。本場へ。
■新世界で二度漬けできる串カツ屋を探す
二度漬け禁止マナーの発祥の地は大阪・新世界だというので、実際に東京から来てみた。普通に二度漬けをしたらマジで怒られそうな感があるし、調子コイたニコ生主や「バカッター」住人じゃあるまいし、そういうマナー違反をしてはいけないし、やはりここは堂々と二度漬けできる串カツ屋を探してみたい。
はい二度漬け禁止〜〜。
逆に、二度漬けできるよ〜と書いたほうが差別化できませんか?
はいはい禁止〜〜。
Please only dip once in the sauce! とにかくプリーズをつければいいと思ってるな貴様!!(英語のできないバックパッカーはそうやって会話してます)
二度漬け禁止ポスター、更に防犯カメラまで作動!! そんなに大事なソースなら後生大事に蔵にでもしまっといて50年後に孫が「なんでも鑑定団」に出せるようにしておけ!!
この看板も相当デカいし金かかってますよ。そんな金かけてまで禁止する?
「屋台仕込みの串カツ」や「新世界名物どて焼」などのフレーズよりもデカい二度漬けお断りの文字。
このオッサン、二度漬けを発見したら完全にブチ切れて客をつまみ出す感がある。というか既にブチ切れている。
オッサン自身の首から下げた木の板のみならず、壁やガラスにまで執拗に「二度漬け禁止」の注意書きが。ここまでくるともう電波っぽい。
同じ店の本店のほうに至っては、窓の上からオッサンが二度漬けをしないか監視している。やっぱり電波だろこいつ。
関わったらこちらが全損するタイプの目をしている。こういう人からはとにかく距離を取りましょう。
……とこのように新世界の辺りを歩きに歩いたが、ついに二度漬けできそうな店は見つからなかった。
……疲れ果てた中、とある串カツ屋の店員さんに尋ねてみた。
「あの、この辺でソースの二度漬けができる串カツ屋を探してるんですが……」
「はぁ…?」
「やっぱりダメですかね?」
「二度漬け? そりゃダメですよ〜。まして新世界でそんな店を探すなんて……あ、でも…」