ファンファーレよしつぐ 2万字未満インタヴュー (前編)

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ファンファーレ よしつぐ
母親宗教、オヤジは無職、妹のエゴサで俺のラップは家族バレ。そんなプロ不幸ことオオヤのヨシちゃんは現在ウイグル自治区出身の女の子からバイトのシフトを奪われ失業の危機!自室の畳の上で正座してiPhone一つで曲を作ってます。助けて下さい。

昨年秋、ハイエナズレコードから衝撃のデビューを果たし、殆ど知られてもいないのに「なんかイイんじゃないのよくわかんないけど」くらいの身内褒めにすっかり調子に乗りつつあるファンファーレよしつぐa.k.a.オオヤヨシツグ。巧くニコニコ動画界隈で頑張ればもう少し人気者になれたかもしれないのに、一家離散の憂き目に遭う最中、なぜわざわざ場末のカスサイトの架空レーベルからデビューしたのか。そしてこれから目指す世界は。童貞喪失はいつか。彼の生い立ちから現在に至るまでに迫る。 (文=赤ソファ 撮影=赤ソファ

<シャツインスタイルが彼の日常。狙ってないリアルな普段着だ>

●こんにちは。今日はよろしくお願いします。
「こちらこそよろしくお願いします」
●あれっ、普段の曲紹介のときの “yeah,yeah,yeah・・・・・マイメン、寒い日が続きますがおたくのボイラー、調子はどーですかー?” みたいな口調じゃないの?
「あれはキャラクターづけっていうか…ラッパーっぽいじゃないですか。わかんないけど。ラッパーとしてのひとつの目標はレモンガスの女の子ですね」

●なるほど。じゃあいきなりですがレモンガス以外に影響を受けたアーティストとか、います?親って答えはナシで。オレッチという作品を生み出した両親マジアーティスティッキー!みたいなのはナシで。
「…よく知らないんですよね。あんまりヒップホップとか好きじゃないですし。でもなんかケンカとかディスりあいとか、自分のカノジョをさも才能大発見かのごとくプロデュースさせた後に、別れたら何も無かったかのようにするのは良くないと思います」
●そうですか。誰のことでしたっけそれ。
「焚きつけるのはやめましょう」
●ところでファンファーレってどういう意味ですか。
「よくわかりません。ハイエナズクラブ会長がある日、『貴殿、ファンファーレにしてみちゃうのどうでSHOW!』と、ジャニー喜多川のマネにしては雑な感じの口調で」
●それで決めちゃったの?なんだ貴様!ウンコ食えって言われたら食うのか?死ねって言われたら死ぬのか!?
「もっと『え〜 そんなノリで決めちゃったの?(笑)』みたいな感じで受け流せばいいじゃないですか」
●そのノリ、元気な大学生っぽくていやですね。では、本来のインタビューっぽい内容に立ち返り、生い立ちなんかをお聞かせいただければと思います。まず、生まれは沖縄という噂を聞きました。
「はい、両親とも沖縄ですね。ただすぐに父親の仕事の関係で九州のほうに移ったので、九州育ちです。その後更に東京に移り、中学高校は東京の学校を出ています」
●ははははは。
「笑うところなんでしょうか」
●2万字インタヴューってそういうもんなんですよ。ビューじゃなくてヴューね。さっきブックオフで立ち読みしてきたら。たまにそうしておかないとそれっぽくないので。で、それからは?
「その前に、伏線になるので先にお話すると、父がその頃から不倫をしていたようだということがわかっています。なにかと用事をかこつけては沖縄に帰っていて、そこで愛人と」
●うらやましいな。で、主にどんな体位を?
「それはわかりませんし、そもそも親のセックスは想像したくないですね。」
●ははははは。ほほほほほ。確かに。ぶひゃひゃひゃひゃ。ギコハハハ。ゲボハハハッハハピルッピルッアゴッ。
「『テンション高い笑い声』を真顔でタイピングしてると死にたくなりませんか」
●はい。まあでは気を取り直して、この収録に用いているというスタジオ・ヨジョーハンについてお聞きしたいのですが。こちら三鷹で、家賃は?

<スタジオ・ヨジョーハンの入り口。隣の個人タクシー運転手に気を遣ってそっとのぼる>

<スタジオ・ヨジョーハン。YOSHIKIのL.A.のスタジオに匹敵する環境のスタジオ>

<焼きそばのお湯を捨ててもベコッと言える歪みすら発生しないほど小さい台所>

「24000円です。駅から徒歩10分、風呂なし共同トイレです」

●安いね。川島なお美の犬のほうが高い犬小屋に住んでるね確実に。
「まあ、犬はrhyme刻めませんから(笑)」
●そうかな?(笑)
「しつこいですね(笑)」
●まじで?(笑)
「はい(笑)」
●出島?(笑)
「や、川島なお美の犬くらいならやりかねませんね(笑)」
●だろ?(笑)
「年収もボクより上ですよ(笑)」
●間違いない(長井秀和)
「笑っている間だけ忘れられる辛い現実を認識したところで話題を変えたいです」
●このトキワ荘スタイルのアパート、ぼくも初めて入りました。玄関の概念が難しくて靴の脱ぎどころがわかりませんね。
「まあフィーリングでOKですよ。インディアンはウソをつかないし、猿は猿を殺さないそうですし、ラッパーは帽子をまっすぐ被らないものです」

●ちょっと何言ってるかよくわからないんですが。じゃ、主に使っている機材などを紹介してほしいのですが。
「これです」

●iPhoneだけ?ミキサーとかはお持ちで無い?
「はい、iPhoneのGarageBandだけです」
●それだけでも曲が作れるっていうのは、ヨシツグ君にというよりiPhoneに驚くね。
「これはツバが飛ぶのを防ぐヤーツです。倉木麻衣やZARDのPVを見てコレだ!って思いましたね」
●すごいっていうか、このオプションの良いのか悪いのかよくわからない感じ、高校時代の小山田圭吾に見つかったら真っ先にイジメられそうだね。
「怖いですね」
●プロっぽいっちゃぽいけど、iPhoneだけですからね。とは言えハイテク具合は藤井フミヤがFUMIYARTをCGでこしらえてた時代のマシンよりは上ですよ。
「ですよね。最先端の制作環境かと自負してます」

<スタジオ・ヨジョーハンから世界へ。この高さなら死にたくなっても死ねないので安心>

後半につづきます!
後半では一家離散の経緯、童貞喪失、その他本業など更に生い立ちに迫ります!マグロ、ご期待ください!(高倉健)