日本アレ宿紀行 〜徳島・某(自称)ネットカフェ〜

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赤祖父(赤ソファ)
青ソファ、黄ソファ、赤ソファの三色からなる「徳ソファ」から分離したうちの一人。三人がふたたび一人に戻るとき、大勝利が待っているという。

ぼくが唯一買ったことのあるブログ本は『日本ボロ宿紀行』です。

旅の宿探しの参考にもなるし、ただ読むだけでも面白いと思うのです。
(なお次買おうと思ってるのは『あたし彼女』)
なので勝手に三代目J Soul Brothersを気取ってぼくもアレな宿をご紹介することにしました。

本家でも、

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「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
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と仰っているように、ぼくの紹介するアレな宿も決して悪口ではありません。
ただ気に入ったかどうか、愛情があるかどうかは別です。今後は本当に気に入った宿もご案内したいところですが。

さて、2009年の春休み頃、四国を貧乏鉄道旅行していたときの話です。
その頃はまだスマホ黎明期、ぼくは当時として超小型のPCとデータ通信用端末を持ってネットで宿や観光地を調べながら行き当たりばったりに旅行するというスタイルで四国を回っていました。
ある日、宿はなんだかんだで大きめの街に多くあるので、徳島駅周辺で探すことにして検索していると、あるネットカフェが仮眠室シャワー付き3000円で見つかりました。
今ではじゃらんや楽天トラベルの当日予約でシングル3000円程度のビジネスホテルは割と地方都市の場合見つかりやすかったりしますが、当時は高くても3000円、それ以上ならネットカフェかサウナ、ライダーハウス等と決めていたのです。大手チェーンのような立派なサイトがあったわけではないので、サイトにあった番号に電話を入れると、「うーん……何とか空いてます」と滑り込みセーフ的なニュアンスのオジサンの返事。あぶないあぶない、と思いつつマップ検索で書かれた住所に向かいました。徳島駅の周辺は他の地方都市と異なり少し変わっていて、駅のすぐ北が城跡の公園になっているせいで北側に少し抜けにくい地理になっています。直線距離で近かったのですが結果的に遠回りをして徒歩20分くらいかかり、目的のネットカフェに到着しました。

ネットカフェどころかキャッツアイかサンバルカンのアジトばりの外観です。
こういう喫茶店は嫌いじゃないですが、マンボーや自遊空間的なのを想像していたので話が違うのではと不安になりつつも、もうアテにできるのがここしかないので意を決して中に入りました。店主らしき人に予約した者であると伝えると、完全に店の裏のスペースに案内されました。サンバルカンなら司令室になっている場所に相当します。

※3階にあがっています。地下ではありません。

部屋に通されると、驚きの実家感!!!

これでネットカフェの仮眠室と自称するのは、笑笑が新しいタイプの居酒屋を自称するようなものではないか、という心境になりました。
大体、宿泊する人間(ぼく)の私物は脇に見える黒いバッグだけです。あとは備品ということなのでしょうが、いかにも知らんオジサンがガンガンに使っていたであろうフトンに枕代わりに二つ折りで利用する座布団というのはタフな旅行をしていたぼくでも流石に少々コタえるものがあります。
「今日、客はぼくだけですか?」と訊くと、「はい」との返事。電話で勿体つけたのはなんだったのでしょうか。そもそもこの部屋以外に部屋はあるのでしょうか、という疑問と、早くも逃げ出したい気持ちに駆られつつある中、ご主人は「では前金で」というのでやむなく3000円を払いました。風俗に慣れた人ならチェンジと言い放つのでしょうが、あいにくぼくはその経験がありませんでした。領収書の要否を問われましたが勿論不要です。誰が経費で泊まるのでしょうか。
そして、ご主人によるシステムの説明が始まりました。
入り口側の部屋の備品はこうなっていました。

なぜか3台もあるTV(徳島のTV局は3局くらいしかないのではと勝手に思ってます)、古い鏡台、ギターが備え付けてあるのはある意味ゲストハウスっぽくはあります。

なんと、わたせせいぞう『ハートカクテル』が備品として読み放題!電気スタンドも複数あって照らし放題!至れり尽くせり、ありをりはべりいまそかりとはこのことです。

ご主人にTVを見るための複雑な機構を説明いただきましたが、特にTVを見る気はなかったので覚えていません。ただ信号をパススルーするためにビデオデッキの電源を入れ外部入力1がどうの切り替え機がどうの的な話だったと思います。ぼくも実家にいるときは複雑な信号辿らせてたから知ってます。

さて基本的に門限なしで自由に出入りできるとのことで、部屋のセキュリティについてご教授いただきました。ただの引き戸のように見えましたがどうなってるかというと……

かなりDIYな感じです。思春期に鍵のかからない自分の部屋につけたくなるやつです。では、内カギは無いのか、という話ですが……

こりゃあ万全のセキュリティ!思春期以前の小3の秘密基地防護システム!

というわけで、部屋にカギをかけ外出し食事とトイレは外で済ませることにしました。
水回りはなんだか色々怖いので、泊まったのに一度もトイレも歯磨きも使わない、というおかしなことになりました。

風呂はお借りしましたが、大体これまでの雰囲気で想像は付くと思います。ぼくは貧乏旅行でも風呂は欠かしてはいけないというルールにしていたので(臭うと周りの迷惑になるので)ご想像の通りの風呂でがんばってさっぱりしました。

その後少し眠ったのですがどうしてもよく眠れず、朝の3時頃勝手にチェックアウトし、駅の近くにあった別のネットカフェに移動して残りの時間を過ごし歯磨きもしました。ちなみに階段はご主人お手製のセンサーライトシステムがあるため真夜中に抜け出すのも安心でした。

しかしなぜかこの後デジカメの画像が壊れ、データ復旧ツールでこれらの写真を救い出すことになったのは不思議です。後にも先にもそんなのはこれ一回きりです。
そんな感じで徳島の一夜はまったく心休まることなく終わりました。ボロい宿とかむしろ好物なのですが、ここは色々と違うベクトルでした。

※本記事の内容は2009年頃の情報です。現在はハイパーゴージャスなお宿になっているかもしれませんがまあ調べる気は特にありません。泊まってみたいという方が居ましたら細かい情報をこっそりお教えしますのでハイエナズクラブまでお問い合わせください。